【Amazon VS Shopify】EC市場の現状を徹底解説

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この記事の所要時間:10分

Amazonは、GMV(流通取引総額)4,900億ドルに達する世界最大級のマーケットプレイスです。日本の月間利用者数は5,200万人を超え、国内でも最も利用されているECサイトといえます。

そんなAmazonを脅かす存在として近年注目が集まっている企業が「Shopify」です。

ShopifyはAmazonと異なり、自社のネットショップを構築するECプラットフォームですが、将来的には直接的な競合になると言われています。

そんなAmazonとShopifyは、表では連携しながらも水面下で戦いが既に始まっており、将来的にマーチャントに大きな影響を与える可能性があります。

今回はそんなAmazonとShopifyについて互いの強みや課題、成長戦略など徹底的に解説します。

AmazonとShopifyについて

マーチャントから見た特徴

マーチャントから見た特徴

マーチャントから見たAmazonとShopifyの最大の違いは、「マーケットプレイス」と「ECプラットフォーム」というビジネスモデルの違いです。

Amazonのマーチャントは、Amazonという巨大なマーケットプレイスの中で商品を販売することができ、ユーザーのほとんどはAmazonというブランドによって集客されるため、マーチャントが集客を行う必要はありません。

しかし、顧客情報を集めて分析やマーケティングができないため、Amazonへの依存度がとても高くなるデメリットもあります。

一方でShopifyは、カート機能などネットショップを構築するためのモジュールを提供するプラットフォームです。

マーチャント自身がオリジナルのデザインや機能を導入したネットショップを構築することができるので、マーケティングやブランド構築がしやすい仕様になっています。

しかし、マーチャントは集客を行う必要があり、初期的ハードルが高いというデメリットがあります。

サービス内容の違い

Amazonは月額4,900円で出品することができます。

すべての商品ページのデザインが統一されているため、複雑な設定などもなく簡単に操作することが可能です。

また、Amazonが提供するFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用することで、Amazonの倉庫に商品を預けることができ、配送業務がすべて自動化されます。

FBAを利用すると、Amazonプライムの対象商品となり、プライム会員へのリーチや無料の翌日配送が可能になります。

一方のShopifyは月額29ドルから利用することができ、決済手数料が3.4%以下とAmazonの半分以下の手数料で商品を販売することができます。

また、Shopifyはアプリという拡張機能の導入や外部サービスとの連携が可能で、様々な媒体や方法で商品を販売することが可能です。

ショッピングがただ商品を買うという行為から体験の手段に変化するなかで、Shopifyを利用するブランドは個々でオリジナルの購買体験を実現することができます。

世界最大級のマーケットプレイス「Amazon」の強み

世界最大級のマーケットプレイス「Amazon」の強み

巨大ECサイトの集客力

Amazonの最大の強みは、なんといっても圧倒的な集客力です。

Amazonは商品検索の出発地点になっているため、ニッチ商品でも必要とする消費者にリーチすることができます。

その集客力に魅力を感じてマーチャントが増え、マーケットプレイス全体の流通総額が増加しています。

スムーズな決済

Amazonのようなマーケットプレイスでは、Amazonアカウントに決済情報が登録されるため、顧客は2度目以降の決済時に面倒な情報の入力をする必要がありません。

顧客は数クリックで商品を購入することができるため、購入完了率が向上します。

また、Amazonアカウントで決済ができる「Amazon Pay」を外部のサービスにも提供しており、Amazonの決済機能はAmazonのマーケットプレイス外にも浸透しています。

FBA(フルフィルメント by Amazon)

FBA(フルフィルメント by Amazon)

AmazonのマーチャントはFBAを利用することで、商品管理や配送業務を全て自動で行うことができます。

FBAを利用することで、集客・商品管理・配送というオンライン販売のほとんどの業務をAmazonが行ってくれることになり、マーチャントの業務は商品の仕入れのみになります。

このようにAmazonが提供するサービスによって、マーチャントはAmazonへの依存度が高くなるので、Amazonは多くのマーチャントを囲い込むことができます。

Amazonが抱える課題

D2Cブランドの流れ

Amazonのマーケットプレイスは、Amazonのブランドによって利用するユーザーが多いため、マーチャントは自社ブランドの構築がしにくくなっています。

また、Amazonでは類似商品による価格競争が行われており、ユーザーもできるだけ安い商品を探すことに集中しています。

そのため、マーチャントにとってはブランディングや付加価値が付けにくいというデメリットがあり、自社でネットショップを構築し、直接顧客と繋がり商品を販売するD2Cブランドが増えています。

大手ブランドが離脱

LOUIS VUITTONやDisney、NIKEなどの大手ブランドが続いてAmazonの離脱を宣言しています。

離脱の理由は、Amazonでの偽ブランド品が絶えないことが原因ではないかと言われています。

Amazonは偽ブランド品の問題を認めていますが、実際にはほとんど対策を取っておらず、偽ブランド品を大量に売りさばくことで利益をあげ続けていると批判されています。

そのような事態が、大手ブランドの離脱を招いている言われています。

世界最大のECプラットフォーム「Shopify」の強み

世界最大のECプラットフォーム「Shopify」の強み

デザイン性と機能の拡張性

Shopifyの一番の強みは、デザインや機能の拡張性です。コード編集をすることで唯一無二のネットショップを構築することができます。

またShopifyアプリという拡張機能を導入することで、ポイント機能の実装やセット販売、メールマーケティングなど、様々なマーケティング施策が可能になります。

とても利便性が高いネットショップを誰でも簡単に構築することができるため、allbirdsやコムデギャルソン、Red Bullといった誰もが知るブランドもShopifyを利用しています。

マルチチャネルで商品販売が可能

Shopifyはただのネットショップを構築するサービスと思われていますが、実態は様々なチャネルで商品を販売するためのハブとなるサービスです。

ネットショップ以外にもホームページやInstagram、Googleショッピングといった他のサービス上で商品を販売することができます。

もちろんすべての情報はShopify上で一元管理され、販売チャネルごとのレポートを確認することも可能です。

Shopifyが提供するPOSシステム「Shopify POS」を利用することで、実店舗でも商品を販売することができます。

日本国内ではShopifyを利用して楽天市場に出品することもでき、このようにShopifyは様々なチャネルで商品を販売する販売するハブになっています。

Shopifyエコシステムの形成

Shopifyには、マーチャントのストア構築代行やShopifyアプリを開発する公認パートナーが存在します。

パートナー企業はマーチャントの支援やアプリ開発に対してShopifyから報酬を受け取ることができるため、現在では42,000人以上のパートナー存在し、6,000以上のShopifyアプリが公開されています。

そのようにマーチャント以外のサードパーティのビジネスを生み出すことで、エコシステム全体として成長しています。

Shopifyが抱える課題

集客のハードル

ShopifyのようなECプラットフォームの課題は集客力です。モール型ではないため、マーチャント自身が集客を行う必要があります。

ですがShopifyでは様々な改善策が用意されており、マーチャントはそれらを活用して集客を行うことができます。

例えば、GoogleやFacebookなどの運用広告の連携やアフィリエイトサービスなど、様々なマーケティング施策を行う可能です。

またShopifyが提供するモバイルアプリ「Shop」には、Shopifyで構築されたネットショップが集約されており、Shopifyストアとユーザーを繋ぐサービスになっています。

このような仕組みで、Shopifyはマーチャントの集客支援に力を入れています。

決済情報の分散

ネットショップで大切なのは購入率です。

ユーザーは商品購入のたびに支払い情報を入力しなければならない場合、購入完了率が低下してしまいます。

Shopifyでは、マーチャント自身が導入する決済サービスを選択するため、Amazonのような決済情報の保存は難しい課題でした。

ですが、Shopifyが提供する決済サービス「Shop Pay」を導入することで、一度Shop Payで決済を完了した決済情報は保存され、次回から数クリックで商品を購入することができます。

Amazonの歴史と戦略

AmazonのマーケットシェアはShopifyの約4倍あり、時価総額では約10倍の差があります。

AmazonのマーケットシェアはShopifyの約4倍あり、時価総額では約10倍の差があります。
出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

ですが、AmazonはShopifyに脅威を感じ、ECプラットフォーム事業にも何度か挑戦しています。

Amazonは以前「Amazon Webstore」というECプラットフォーム事業を運営していましたが、2015年にサービスを停止しました。

そして、2021年1月にAmazonはShopifyのライバル企業「Selz.com」を買収し、再びECプラットフォーム事業に参入しました。

顧客とのつながりを重視するD2Cブランドが増えるなか、Selzを買収することでAmazonのマーケットプレイスではカバーできなかったマーチャントのニーズを取り込もうとしています。

また、Amazonが持つ2億人以上のプライム会員やFBAのシステムによってShopifyを凌駕するECプラットフォームになる可能性を秘めています。

Shopifyの歴史と戦略

Shopifyはこれまでに、エコシステムに参加する企業へのインセンティブ設計や大手企業との連携、M&Aによって事業を拡大してきました。

Shopifyはこれまでに、エコシステムに参加する企業へのインセンティブ設計や大企業との連携、M&Aによって事業を拡大してきました。
出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

2015年にニューヨーク証券取引所に上場し、現在では時価総額が1,800億ドルを超えています。

Shopifyによる企業買収の目的は人材獲得や機能拡張です。

Shopifyで有名なドロップシッピングサービス「Oberlo」や卸売プラットフォーム「Handshake」も過去にShopifyに買収された企業です。

2021年6月にはARスタートアップ「Primer」を買収し、Shopify ARの今後にも注目が集まっています。

また、GoogleやFacebookとの提携による販売チャネル拡大や、他のプラットフォームでのShop Payの対応など、様々な媒体と連携が進んでいます。

2020年6月には、マーケットシェア3位のWalmartとの連携もあり、ステークホルダーを増やして確実に規模を拡大しています。

2020年の決算ではGMVが前年比約2倍に成長したことが明らかになり、今もなお急成長を続けています。

【最後に】今後の動きに注目!

実際、多くのマーチャントはAmazonとShopifyのどちらか一方ではなく、両方を利用しています。

ShopifyでAmazon Payを利用することも可能なので、そういった意味では一部連携されているところもあります。

ですが今後どちらがECのハブとなり、もう一方が販売チャネルになるのかということは注目すべきポイントです。

両社の今後の動きは、マーチャントの事業にも大きな影響を与える可能性があるので、目が離せません。

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